【なめし工程レポート】職人「タンナー」の熟練の技と仕事(加工編)
タンニン層に漬け込んで「革」へと変化した牛皮。基本のなめしの工程を終えると、職人が厚みや風合い、色を調整し、ますます革を洗練させていきます。加工や染色は職人の腕の見せどころ。ちょっとした加減が仕上がりを大きく左右します。職人たちのプロの仕事をみていきましょう。
9. 革の厚みを整える「革漉き」
タンニン層でなめして乾燥させた革を、用途に応じて薄くしていきます。仕上がりの厚みは職人が感覚で覚えていくもの。経験を重ねて習得されるプロの技です。
10. 再なめし&下地の染色
革の柔らかさや風合いを用途に合わせて調整するため、再度なめしの工程へ。その後、各ブランドやアイテムごとの要望に沿った色合いになるように下地を染色します。
地肌の色や毛色、革の状態、気候によって仕上がりの色が微妙に変わってくるため、それらの条件を加味したうえで職人が一つひとつの革を見極め、染める色や薬品の量を決めています。匠の審美眼が光る工程です。
11. 機械で伸ばし、手で伸ばす「セッター」
セッターで再び革を伸ばすと同時に、染色時に革が含んだ余分な水分を取り除く「水絞り」も再度おこないます。
分厚い革や伸びにくい革は、さらに手作業で伸ばします(=ハンドセッター)。細かいシワも丁寧に伸ばし、なめらかな革をつくりあげます。
12. 水分を飛ばす「味とり」と乾燥
革を1日〜2日置いて水分を飛ばし(=味とり)、その後さらに数日〜1週間かけて乾燥させます。乾燥具合も見極めが大切です。職人が革の厚みや気候に合わせて調整しています。
13. 革を柔らかくする「バイブレーション」
「バイブレーション」という機械に通して高速振動をあたえ、乾燥した革を柔らかくします。
14. 職人の経験が光る、色合わせと塗装
各ブランドやメーカーの要望に沿って色をつくり、革を塗装します。色合わせは職人の感覚で決まるもので、塗装は一つひとつ手作業で進めます。
ポルコロッソレザーの色をつくるために
ポルコロッソレザーは、キャメル・レッド・チョコ・ブラックにそれぞれ基準となるカラー見本があり、見本をもとに職人が染料と顔料を調合して色をつくっています。
季節(湿度、気温、天候)や革の状態(筋肉質、柔らかめ)によって処方する薬品の量は少しずつ変わります。それらを見極めるのも職人の仕事。常に同じ色の革をつくり続けるためには、並大抵でない努力と経験値が必要です。
ポルコロッソが長きにわたって独自の色を保ち続けてこられた背景には、地道な職人仕事の蓄積があるのです。
このように膨大な手間と時間をかけて、ようやく「皮」から「革」ができあがります。職人たちの熟練の技と感覚、こだわりが詰まった革製品。世界に一つしかない味わいを楽しんでくださいね。
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